⇒ 私のヨコ顔 

⇒ 年賀状目次 ⇒ 前の年 ⇒ 次の年 ⇒ 暑中見舞い等

 ⇒ 書き物いろいろ

 

 いつの間にか「こだわる」という言葉が、些細なようで見過ごされがちだが実は本質的で重要なことがらをおろそかにせず真剣に取り組む・・といった意味で使われるようになっている。しかし、自分の作る年賀状に対する私のこだわりは、取るに足らない些末的な点に拘泥するという本来の用法が当たっている。
 ゴム版をやめて、ひとつずつ打った点々で出来た年賀状に替わってから、今年で10枚目になる。寅年ということで、トラの名前のつく生き物の絵を集めて描いたが、私の虫好きを反映して、昆虫がふたつも含まれている。さて従来の方法で印刷してみると、刷り上がりの鮮明度が今ひとつである。色々と試みたが、せっかく丁寧に書いた点々の顔が立つところまではいかない。それで、ついに世の中の流れに従い、パソコンを用いてプリンターでの年賀状作製となった。完成品をスキャナーで取り込んで使用するのだが、画像処理のアプリケーションを利用すれば、いくらでも細工ができる。たくさんの点をわざわざ書かずとも、線画やべた塗りの原画から点描の作品への変換も容易なはずである。しかし、この年だけでなく、ずっとそれ以後も毎年、こつこつと自分でペンで点を描いている。

⇒ 年賀状目次 ⇒ 前の年 ⇒ 私のヨコ顔

 


1998年
(平成10年、戊寅)

2001年
(平成13年、辛巳)

 この年のペプチド討論会は長崎で開かれ、学会参加の後は、天草に足をのばした。連絡船で天草諸島最大の下島に渡って一泊、次の夜は寝台特急の中で過ごした。大阪で降りて、門真で義父の3回忌、さらに翌日は枚方で実父の十七回忌に出た。学会、観光に法事がふたつと、盛りだくさんの1週間であった。
 私の天草観光の主たる目的は、天草五橋を全部歩いて渡ることであった。諸島と本土を結ぶこれらの橋は35年前に完成したもので、もちろん自動車用なのだが、歩道もちゃんとついていた。さて、見晴らしもよく、気分は爽快だろうと歩き始めたのだが、岸から離れると、眼下は深く、海面までかなり遠い。景色を楽しんでいる余裕はなくなっている。しっかりした手摺はあるので万が一にも海へ落ちる危険はないのだが、怖くて、気がつけば、手摺りから離れた道の中央に近い側を歩いている。実は、内側は、すぐ横を車が走っているので、よろければ命の保障はない危険な側である。頭で考える「危ない」側と心が感じる「怖い」側とが正反対である。このような場面では、理性はむなしく、怖さの方が勝ってしまうということを思い知らされた。
 この年賀状では、仲良く蛇が4匹並んでいるようだが、実は頭の無いのや尻尾の無いのが居て、恐ろしい存在でもある。まあ単純な騙し絵の一種に過ぎないが、世の中には、怖い危ないものが、一見そうは見えない形であちこちに潜んでいる。

⇒ 年賀状目次 ⇒ 前の年 ⇒ 次の年 ⇒ 暑中見舞い等

 ⇒ 書き物いろいろ

 ⇒ 私のヨコ顔 

 西暦2000年を迎える際に、コンピューターの対応が追いつかずに困ったことが起こるのではないかと騒がれたが、事なきを得たようである。また巷では、ミレニアム何とかという催しやら商戦やらが賑やかであった。20世紀の最後の年でもあり、ともかく、かなり重要な節目を迎えたと言えよう。
 毎年、多くの人から、様々なタイプの年賀状を受け取る。その人なりのパターンが確立しているものもあって、ひと目みて、ああ、あの人からだとわかる。いつも家族の近況を書いてくださる方もあって、直接は存じ上げないながらも、懐かしい気がしたりしている。それで、節目の年として、ここに紹介した賀状のほかに、絵は上半分におさめて、下半分には以下のような家族の近況紹介を書いたものも作った。そちらの方をお出しした方も多い。

Millenial Greeting from Kawai Family  

今春、有機立体化学の本が千葉大学小倉教授との共訳で化学同人より出版されます。週末ジョギング7年間の成果として、2月の犬山ハーフマラソンでは1時間52分を切れそうです。
    (名古屋工業大学応用化学科) 正 雄

クラブ活動ではエコロジー研を担当して有機野菜を育てています。先日ピ ーナッツを収穫しました。  (南山国際高等・中学校)美登子

(以下省略)  

⇒ 年賀状目次 ⇒ 前の年 ⇒ 私のヨコ顔

 年賀状では見かけない「寿限無」の三文字が、謹賀新年や賀正のかわりに書かれている。落語に出てくる長い名前「じゅげむ、じゅげむ、後光の擦り切れ、・・・」の始まりの部分である。名前が長すぎるなど、不便なだけで、何のメリットもなさそうだが、実はそうではない。携帯電話に、無差別に発信されたいかがわしい内容のメールが続々と入ってくると腹立たしく、また鬱陶しい。こういう場合に、メールアドレスすなわちe-メールの送受信に用いる自分の名前を非常に長いものに設定しておくと、変なメールは来なくなる。札幌に住む私の知人は、英字、数字、記号を交えた25文字がアットマーク@の前にならんでいて、寿限無には及ばないが計36文字の長い名前である。なお、私達の一家が携帯電話の恩恵にあずかるのはこの年からであったが、いわゆる迷惑メールが世間にはびこるのは、さらに4、5年後のことである。
 ところで手品師の帽子の兎とともに、たくさんの寿の文字が並んでいて「ことぶき限り無し」の目出度い年賀状のつもりであるが、これらの字は、百種類の書体の「寿」を並べた掛け軸からとった。といっても我が家は、一応1階と2階に一部屋ずつ畳の部屋があるが、床の間はついていない。実はそのお目出度い掛け軸の宣伝のちらしから借用させていただいた。思えば、掛け軸のある暮らしから離れて久しい。

⇒ 年賀状目次 ⇒ 前の年 ⇒ 私のヨコ顔

 


1999年
(平成11年、己卯)


2000年
(平成12年、庚辰)