『五輪、食材調達に厳しい目』『家畜飼育基準、欧米より緩く』『「動物福祉」遅れ露呈』の三段見出しの日本経済新聞の2021年7月31日発行の夕刊のトップ記事が、自然環境市民大学修了生仲間の楳澤郁夫さんから送られてきました。記事によると、東京五輪・パラリンピックの選手村の食材に、劣悪な飼育環境で育てられた畜産物が使われており、欧米に比べた動物福祉の遅れに世界から厳しい視線が向けられているとのことです。
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沢山の鶏がひしめく養鶏場の写真には「養鶏場の環境にも厳しい視線が注がれる」の説明が添えられており、日本の養鶏ではケージ飼育がほとんど(94%)である。オリンピック関係の食材として、2012年のロンドン大会では放し飼いが要件であり、前回のリオ大会でも狭い金網の飼育舎で生産した鶏卵は使用されなかった。
日本の養豚施設の92%が妊娠ストールという自由に身動きできない狭いオリを用いているが、EUでは2013年に妊娠ストールでの飼育を禁止し、米国で一部の州が廃止に動いているという。
動物福祉は、家畜を含めたすべての動物が精神的・肉体的に健康であるべきという考え方であり、世界の趨勢である。記事は、「東京五輪・パラリンピックの大会期間中は、世界中の人々が競技だけでなく、日本の社会や文化にも注目する。動物福祉もその一ついえるだろう。」と結ばれている。
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上記の日本経済新聞の記事を紹介してくださった楳澤さんは、実は、すでに半年以上前の1月16日に、修了生の会「空の会」の野鳥部会の仲間への『前農林大臣は養鶏業者から献金を受けました』という表題のメールの配信で、下記の如く、我が国の動物福祉の問題点を鋭く指摘されています。
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楳澤郁夫さんのメール (2021年1月16日付)
宛先:「空の会」(自然環境市民大学修了生の会)の野鳥部会メンバー
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野鳥部会の皆々様
今日はニワトリのお話です。
秋田フーズさんからの増収賄が新聞の片隅に載っています。
よくある業界からの贈賄・収賄です。
なぜ、物価超優等生の養鶏団体が贈賄したのでしょう・・・
マスコミもあまり詳しく説明していません。
金銭を授受した事だけを善悪の議論にしています。
秋田フーズは養鶏団体を代表して、何を求めたのでしょう?
世界では家畜や家禽をもっと人道的に飼育することが求められています
「アニマル・ウェルフェァー」=動物福祉の考え方です。
それを日本に入れないように頼み込んでいたのです。
狭い金網に2羽づつ押し込めて、極度のストレスの中で産卵を続けさせる。
そんな飼い方で出来た卵を食べたいですか?
ヨーロッパの「緑の思想」は鶏を良い環境で飼育せよと求めています。
「こんな考えが日本に入っては困る!」と献金したのです。
マスコミも野党も「グリーンな畜産論」にダンマリです。
只の金銭授受しか話題になっていません。
ブロイラー、豚肉生産・乳牛・肉用牛生産すべて同じです。
「ミドリの牧場で家畜が育つ」ハイジの世界ではありません。
人目につかない、超巨大生産者が経済最優先で生産しています。
斯く言う、禿之小路もその業界で生きて来ました。
ヨーロッパでは今どうしているのか?
鳥インフルエンザで大量殺処分のニュースも見方が変わるかも・・・
ゆったりと3密を避けて飼育するべきものだと思っています。
前世を悔い改めている 禿之小路 呆麿 (←楳澤郁夫さんのペンネームです)
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上記のメール配信に対して寄せられた市民大学修了生仲間の山本哲さんの返信の一部を以下に示します。
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ドイツ自転車旅で見た養鶏場(写真添付)が日本と全く違った理由に合点が行きました。
牧畜もドイツでは放牧が普通ですが、先日、テレビで見た北海道の牧畜の話では、北海道ですら放牧している農家は全体の10%しかないとのことで、驚きました。牛乳が全然違い、放牧農場の牛乳は貴重だということでした。
家畜や家禽だけでなく、生物の研究でも、学会で論文を発表する際、実験で生物に苦痛を与えていないかを問われるようになってきています。
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以下は山本さんの返信への1月16日付の楳澤さんの返信です。
早速、素敵な写真をお送り頂き感謝しています。
これぞ、畜産国、ドイツが示す家畜にやさしい養鶏場の姿です。
台風が多く高温多雨な日本では、どれほどコストアップになるでしょう。
確かに一寸難しいかも・・・
でも、そうすべきだ決めればチャンとするドイツの素晴らしさ!
マスコミも、ドブネズミのような政治家も論点がずれています。
ちなみに、御手近のミルクやバターの容器をご覧ください。
牧場に乳牛を画いた下に「イメージです」と断り書きがあります。
断り書きを入れれば、問題の本質を問う必要がなくなるお国柄です。
止まり木さえない金網籠で高密度で飼育すれば、鳥インフルが出ます。
自衛隊に頼んで殺処分! マスコミもちょっと撮影しています。
日本の巨大養鶏場の映像がチラリと見えたと思います。
何十万羽も、何十カ所も、殺処分を税金で行っているのです。
家畜とは言え倫理的によくないことを、避けて通るのはどうでしょう・・・
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山本さんの撮影された写真を見ると一目瞭然、ドイツと日本の養鶏場はまさに月とスッポン、文字通り天と地ほどの違いです。
「そうすべきだ決めればチャンとするドイツの素晴らしさ!」という楳澤さんの言葉に、五輪開催で世界に露呈した我が国のコロナワクチンの接種の遅れや人権意識の低さ等々の現状との対照が実感されます。
動物福祉の感覚が乏しく、劣悪な環境に置かれている家畜を当然のことと見過ごしていた自分自身を思い知らされました。
メール内容のHPでの公開を快くお許しいただいた楳澤郁夫、山本哲のご両名に感謝します。 (2021年8月8日)
<付記> 自然環境市民大学の修了生の会「空の会」の野鳥部会の楳澤郁夫さんには、四季の鳥の話題の4部作『夏至を過ぎると・・・』 『秋の夕暮れ』 『小さな猛禽 チョウゲンポウ』 『花を散らす小悪魔の忘れ形見』を寄稿していただいています。
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